アスペルガー大学生

略歴:1999年生まれ。北海道出身。東京に住んでいたこともある。中学校2年生のときに自閉スペクトラム症(ASD)、社交不安障害(SAD)と診断される。2022年現在診断名はアスペルガー症候群(ASD)のみであり、スキゾイドパーソナリティ障害の可能性もあると考えている。小学生時代に2度の引っ越しと両親の離婚を経験している。一年の自宅浪人を経て北海道大学に入学する。2018年2月28日からアマゾンkindleに電子書籍配信。Twitter:@ShotaroKindle

本当に新型コロナウイルス予防には「手洗い」と「消毒」が有効なのか

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かのニュートンがペスト大流行で引きこもっていたからこそ「万有引力」を発見できたと言われているように、棚から牡丹餅なニュースが舞い込むことをつい期待してしまう今日この頃です。

 

そんな中、厚生労働省の発表が波紋を広げていますね。

 

厚労省、消毒液の代わりにアルコール高濃度の酒使用認める

 

 

 

 

www3.nhk.or.jp

 

新型コロナウイルスの感染拡大で、アルコール消毒液が不足していることを受けて、厚生労働省は、アルコール濃度が高い酒を消毒液の代わりとして使用することを特例として認めることを決めました。

 

(中略)

 

この濃度に該当する酒はウォッカなどで、酒造メーカーでは、消毒液の代わりとして使用することを想定した製品の製造も始まっているということです。

 

具体的には、アルコール濃度が70%から83%の酒を対象とし、これより濃度が高い酒は、殺菌効果が落ちるため薄めて使うよう求めています。

 

厚生労働省は「主に医療機関での消毒液の不足を解消するための特例措置であり、一般の家庭では、引き続き、手洗いの励行を続けてもらいたい」と話しています。

 

このニュースを見て一瞬「日本のニュース?」と思ってしまったことは内緒です。

 

「アルコールの濃度が70%~90%でなければ十分な殺菌効果が期待できない。」


これ、聞いたことがある方でも理由まで説明できる方はもしかすると限られてくるのではないでしょうか。

 


まずは原理から

 

そもそも何故アルコール(エタノールなど)は菌を殺すことが出来るのでしょうか。

コロナウイルスはウイルスなので菌とは別物ではありますが)

 

主な効果としてはアルコールが菌の細胞中に浸み込むことで細胞内の器官が変質すること・脂質を溶解させることが挙げられます。

 

特に、コロナウイルスやインフルエンザウイルスはエンベロープウイルス(後述)の一種であるため、アルコール消毒・手洗いが有効であるとされています。

 


エンベロープはその大部分が脂質から成るためエタノール有機溶媒、石けんなどで処理すると容易に破壊することができる。このため一般にエンベロープを持つウイルスは、消毒用アルコールでの不活化が、エンベロープを持たないウイルスに比べると容易である[要出典][2][3]。
エンベロープ (ウイルス) - Wikipedia

 


ここまで読んだ方の中には、「なんで人はアルコールを飲んだり肌に塗ったりしても平気なのか?」と思われる方もいるかもしれません。

 

その理由は単純です。

 

「細菌は単細胞生物である一方で、人間は『60兆もの細胞から成り立っている多細胞生物』だから」

 

これ以上でもこれ以下でもありません。

 

肌の表面の細胞が少し機能を失ったり死んだりするくらいでは生命には影響ない、ということですね。

 


アルコール濃度が70%~90%でなければならない理由

 

濃度が高いほど殺菌効果が強い、という発想は極々自然なものでしょう。

 

ですが、アルコールはいわゆる「例外」です。

 

アルコール濃度が高ければ高いほど、ある物質の割合が減少することになりますね。

 

もったいぶって言ってますが「水」のことです。

 

関連記事

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アルコールは例外的に純粋な100%よりも少し水で薄めた方が殺菌効果が強い、ということは1910年頃から経験的にわかってきたことだとされています。

 

エタノールの最適除菌濃度は70~80重量%で、80重量%以上になると逆に除菌力が低下します。このことは、1910年代から経験的に明らかにされてきました。

(中略)

近年、エタノールと水の混合溶液の会合状態のモデルから、エタノール濃度が70重量%の時、エタノールと水の分子組成比が1:1となり、疎水基が平面状に並んで広い疎水面をつくり、細菌の細胞膜を破壊して蛋白質を溶出させることで除菌力を示すというという報告も出されています

日本食品洗浄剤衛生協会

 

皮膚へのダメージと経済性を考えてもアルコール濃度は7割から8割程度にするのが望ましいというわけですね。

 

新型コロナから得た教訓

 
消毒液として使うためにわざわざお酒を買って消毒しても、濃度が40%とかで実はほぼ効果がなかった、なんてことになっては本末転倒ですよね。

 

今どき知識なんてGoogle検索すれば済む

 

みたいないわゆる反知性主義的な考えが蔓延っている風潮もありますが、

 

検索で得た情報を正しく読み取る為にも知識が必要である


ということを体験する貴重な機会が今回のコロナウイルスで得られた、ともいえるかもしれません。

 


「学校では教えられたけど、数学や理科の知識なんて使わないよ」

 

という人はどこにでもいるでしょう。

 

これは私の偏見ですが、そのような人は商品の説明欄とか読まないタイプの人間なのだと決めつけています。


要するに「使えればいい」というタイプの人間であると。

 

でも分野に関わらず、全くの無知であると今みたいな「いざという時」間違った情報やデマにあっけなく騙されてしまう。

 


そもそも「消毒に適したアルコール濃度」なんて普段はどうでもいいですよね。
でも今は多くのメディアが取り上げる話題になっているという事実がある。

 

世の中どうでもいいことなんてない、いつ何がダメになって何が役に立つのか分からない、これもまた実例としてリテラシーの重要性に気づく為の教訓としてとどめておくべきことなのでは、という感想を持った次第です。

 


参考

business.nikkei.com

mainichi.jp

 

 

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