アスペルガー大学生

略歴:1999年生まれ。北海道出身。東京に住んでいたこともある。中学校2年生のときに自閉スペクトラム症(ASD)、社交不安障害(SAD)と診断される。2022年現在診断名はアスペルガー症候群(ASD)のみであり、スキゾイドパーソナリティ障害の可能性もあると考えている。小学生時代に2度の引っ越しと両親の離婚を経験している。一年の自宅浪人を経て北海道大学に入学する。2018年2月28日からアマゾンkindleに電子書籍配信。Twitter:@ShotaroKindle

マイノリティにとって多数決の原理は「悪」なのか

 

「狂気は、個人においてはめったに現れない。」


--ニーチェ善悪の彼岸 (岩波文庫)

 

少数意見の尊重

 

集団が意思決定をする上で多数決は古来より採用されてきました。乱暴な言い方をすると、マジョリティ(多数派)の意見が正しい、マイノリティ(少数派)の考えは間違いだとすることで集団の方針を決めていくというわけです。

 

極端な話、ある学校でたまたま男子が過半数を超えていて多数決の結果『少数派である女子は奴隷として扱う』となったら、それが正しいこととされてしまう、というわけです。

 

これは言うまでもないことと思いますが、少数派が意見を発信する機会を失うことは民主主義に反することであり、あらゆる意見が尊重されなければいけないことになっています。

 

多数派になりたがる人々「ダス・マン

 

話は少し変わりますが、多数派がいわば無批判に肯定される考えとして「ダス・マン」という概念があります。マルティン・ハイデッガーは、自らの個性を排除し、他人とは便宜として関わり、気晴らしを唯一の楽しみとしながら社会に埋没する生き方を「ダス・マン的生き方」と表現し、そのような人間をダス・マン(世人)と名付けたのです。

 

ハイデッガーは、われわれ人間の日常的あり方を、ダス・マン (das Man)という造語で表現しようとした。ダス・マン的生き方は、非個性的・非革新的であるか、同時に安心して生きていく可能性を与えてくれるあり方でもある。このダス・マン的あり方の安心性は、マジョリティーに起因し、またそれゆえ無批判に肯定されてしまう。だからそれは、「正常」ともなってしまう。

出典:〈自閉症学〉のすすめ:オーティズム・スタディーズの時代

 

 

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画像:マルティン・ハイデッガー - Wikipedia

 

 

「酔生夢死」という言葉もありますが、それに近いものを感じますね。

 

自らも便宜的な存在となり、無個性化することで常に「多数派」となる、これでいわゆる「奴隷」になるような心配はないと。

 

もし「全てにおいて多数派の思考を持っている人」がいるとすればそれは本当の意味で「普通の人」であり、反社会的な考えを一切持たない「正常な人」と言えるでしょう。

 

ダス・マン気質な人々は少数派を迫害する


ここまで読んだ方の大部分は

 

「そんなのおかしい」

「ダス・マンにはなりたくないなあ」

 

と思われるものでしょう。

 

たとえ一人一人はそう思っていたとしても、いざ集団になるとダス・マン的になっている、という場面は社会で生きている以上誰にでもあることだと思います。

 

「ダス・マン」はあくまでも概念ですが、ダス・マン的な人は多くいるでしょう。

 

解釈によっては一部の本当にエネルギッシュな人を除いたほとんどすべての人がダス・マン気質と言えるかもしれません。


ダス・マン気質があると、無意識に多数派になりたがる、無難な選択をしたがる、つい少数派を避けてしまう。

 

本人に悪気はなくとも物事を当然の如く「多数派:正しい」「少数派:正しくない」でカテゴライズしてしまう。

 

それが偏見となり、発達障害者といった少数派にとって大きなハンディとなっているのも現実として痛感する今日この頃です。

 

これが悪意あるものに利用されたり、またはちょっとした弾みで人種差別や優生主義の正当化に陥ってしまう、とも思います。

 

本当の意味で「普通の人」というのは「全てにおいて多数派の思考と嗜好を持っている人」だろう。 そう考えると「少数派である要素=個性」と言えるのではないだろうか。 「個性=少数派」と念頭に置くことは、他人の志向や嗜好について口を出す前に一呼吸置くことに役立つだろう。 承認欲求も優生思想も人間の普遍的な感情から生じるものであることを弁え、常に念頭に置くことは理性ある行動を目標にする上では欠かせない習慣だろう。

【グレタ・トゥーンベリ】障害は個性の一つなのか - アスペルガー大学生

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僕(@kindle_ASD)自身発達障害当事者でありますが、自分の目で物事を捉えられるようになりたいものだと感じた今日この頃です。

 

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